豆屋のおじさんが言ってた枝豆、お米を探してる途中で売ってるとこを何個か見つけたんだよ。
でね、そこのおじさんに聞いてみたら毎日新しいのを畑から取ってくるって教えてくれたもんだから、僕は変える時に買えばいいやって思ったんだ。
「さて、やっぱりお米はどこにも売って無いみたいだし、別のとこを見に行こっかな」
僕、さっきからお野菜が売ってるとこばっかり回ってたでしょ?
だからそろそろ、別のものを売ってるとこに行こって思って歩き出したんだ。
「へぇ、このへんはお肉とかお魚が売ってるのか」
そしたらさ、お肉とかお魚ばっかりが売ってるとこがあったんだよね。
イーノックカウって近くに海は無いけど、おっきな川は流れてるでしょ?
それにお肉も森でいっぱい獲れるもんだから、お野菜が売ってるとことおんなじくらいお店が並んでたんだ。
「あっ、でもどれが何のお肉なのか、見ただけじゃ解んないや」
そりゃあ、鳥のお肉は解るよ?
でもおっきな肉の塊になってるのがお店にドンっておいてあっても、それが何のお肉かなんて、僕、解んないんだよね。
だからお肉を売ってるとこは素通りして、お魚が売ってるとこに行ってみたんだよ?
そしたらさ、僕んちの近くではあんまり見ないお魚がいっぱい売ってたんだ。
「わぁ、あのお魚、おっきいなぁ」
そこにはね、前の世界で鮭って言われてたお魚とそっくりなのが売ってたんだけど、そのお魚がすっごくおっきくって、僕、びっくりしちゃったんだ。
だってさ、僕のお父さんとおんなじくらいおっきかったんだもん。
この街の近くの川、うちの村のと違ってすっごくおっきいなぁって思ってたけど、あんなおっきなお魚も泳いでるんだね。
その他にも1メートルくらいの鯉や鮎っぽいのまでいるんだよ?
でね、その中でも僕が一番びっくりしたのがイワナっぽいお魚。
何でかって言うとね、これとおんなじようなのがグランリルの川でも獲れるんだけど、それよりもず〜っとおっきかったからなんだよね。
だから僕、そのイワナっぽいお魚が売ってるお店のおじさんに、聞いてみつ事にしたんだ。
「ねぇ、おじさん。このお魚、僕が住んでる村の川にもいるけど、こんなにおっきくないんだよ。なんで、ここのはこんなにおっきいの?」
「ん? ああそれはな、エサが違うんだ」
おじさんが言うにはね、ここに売ってるお魚はみんな川で泳いでるのを獲って来たんじゃなくって、おじさんのお友達がえさをあげて育ててるお魚なんだって。
だからね、イーノックカウの川で泳いでるお魚がおっきいんじゃなくって、おじさんが売ってるお魚が得におっきいんだよって教えてくれたんだ。
「そうなんだ。でもさ、何あげたらこんなにおっきくなるの?」
「詳しい事は折れも教えてもらってないから知らないんだ。でもな、何やら魔物の素材を混ぜたエサを使っているらしいぞ」
おじさんもね、育ててる人から買ってるだけなんだって。
だから魔物からとれたものを混ぜてるって事は聞いてるけど、それが何かまでは知らないみたい。
「この魚はな、川で捕れる魚より大きいだけじゃなく、味もかなりいいんだぞ」
「そっか。だからここらへんで売ってるお魚、みんなその人が育てたのを売ってるんだね」
周りを見ると、ほとんどのおp店のお魚がここのとおんなじくらいおっきかったもんだから、僕はみんなおじさんのお友達が育てたお魚を売ってるんだろうなぁって思ったんだよ?
でもね、おじさんは違うよって。
「実を言うと、同じように魚を育てている人達がいてな、魔物の素材が使われていると聞いて研究したらしいんだ」
「そっか。おっきくておいしいお魚が売ってたら、自分とこのが売れなくなっちゃうかもしれないもんね」
一人がおっきくておいしいお魚を作っちゃったもんだから、他の人たちは最初、自分たちのとこのが売れなくなっちゃうんじゃなかなって大慌てしたそうなんだよ?
だからみんなで研究して、おっきなお魚を作る事に成功したんだってさ。
「そのおかげでほとんどすべての店で、このレベルの魚が売られるようになったんだが、一つ問題があってな」
「問題?」
「ああ。さっきも言った通り、この魚には魔物の素材がえさとして与えられているだろ? だから普通の魚よりも、どうしても高くなってしまうんだ」
今までは普通のえさでお魚を育ててたから、川で獲ってくるものより安かったんだって。
でも魔物のえさで育てようと思ったら、どうしても高くなっちゃうでしょ?
なのにみんなその高いお魚ばっかり作るようになっちゃったもんだから、安いお魚が欲しいって思ってる人たちが困っちゃったんだってさ。
「そっか。みんながお金持ちな訳じゃないもんね」
「ああ。それにな、すべての店がその高い魚を扱えるほどの力がある訳じゃないから、商売替えをする奴まで出て来たんだ」
安いお魚を売ってた人たちは、おっきくておいしいお魚は高くて仕入れることができなかったんだって。
だからみんな別のお店に変わってっちゃったもんだから、今度はお魚を売ってるお店がどんどん少なくなっちゃったそうなんだよね。
「俺が仕入れている最初に作った人は、あらかじめ金を持っている店にだけおろしていたから問題は無かったんだがなぁ」
「売るもんが無かったら、別のお店になるしかないもんね」
「ああ。だから後から作った連中はまた話し合って、大きくてうまい魚だけじゃなく、前のように安い魚も作るようになったんだ」
僕、最初にこの辺りに来たもんだからイーノックカウのお魚は全部おっきいんだなぁって思ったんだけど、おじさんが言うにはもっと先に行くと普通の大きさのお魚も売ってるんだって。
でね、そこらへんだとお魚を使ったお料理を売ってるお店もあるから行ってみるといいよっと教えてくれたんだ。
「坊主くらいの子だと、うちの魚はデカすぎて持って帰れないだろ? それに、そもそも料理をするとも思えないから、食べられるものが売っている方がいいだろうしな」
「お魚のお料理かぁ。うん! 僕、そこに行ってくるよ」
僕が安いお魚が売ってるとこに行ってくるって言ったらね、魚屋のおじさんは高いものを売ってるここと違って、あっちは人がいっぱいいるから気を付けるんだよって。
「ここと違ってその辺りは買い物をしている人も多いだろうから、気を付けて行ってくるんだぞ」
「は〜い!」
僕は元気よくお返事すると、お魚屋さんのおじさんに手を振りながら教えてもらったお魚のお料理が売ってるってところに向かったんだ。
グランリルの村では牛や豚は飼育していませんが、鶏っぽいものは飼育しています。
そして近くに魔力溜まりが無い村ではその牛や豚も飼育しているのですから、イーノックカウのように大量消費をするところの近くであれば魚の養殖も当然しているんですよね。
ただ現実と違うのは、この世界には魔物がいるという所。
魔力を含んだ食品を取ると体にいいというのは人も魚も同じなので、魔物の素材を与えて育てた魚は当然大きく育ちますし、魔力を取り込んでいるので味も良くなります。
現実で言うと、高濃度の酸素が含まれている水で育てると金魚が巨大化するのと同じですね。
因みにですが、グランリルの川にいる魚も、実は普通のものより少しだけ大きかったりします。
それは水に魔力が溶け込んでいるからなのですが、エサとして取り込んでいるものと違って魔力の吸収量が少ないため他の場所で獲れるものと大きな差が出ていないと言う訳です。